ビットコイン(BTC)

ビットコインの未来は?開発論争のニュースを徹底解説

ブロックサイズ問題とビットコインの開発論争とは

ビットコインの世界ではブロックチェーンの仕様変更に関して開発者グループとマイニンググループが対立し、2016年頃から開発論争に関するニュースが報じられるようになりました。

2015年頃からビットコインの取引件数が急増し、送金遅延が発生するようになりました。


ビットコインの送金遅延問題が起こるメカニズムですが、コインを送金する場合には取引台帳(ブロックチェーン)に送金に関する情報(送金元・送金先アドレス、送金額)などを書き込む必要があります。

10分毎にブロックと呼ばれるデータファイルに送金情報(トランザクション)が記帳され、ブロックチェーンに結合すると送金手続きが完了したことになります。各ブロックはファイルサイズ(1MB)と、格納することができるトランザクション数(最大4,000件)の上限が決められています。

取引件数が多い場合にはブロックに格納できなかった送金手続きが次回以降のブロックに後回しにされてしまい、送金遅延が発生します。2016年以降、慢性的に送金遅延が発生するようになりました。


ビットコインの送金は1バイトあたりの送金手数料が高いトランザクションが優先的に承認されるため、慢性的な送金遅延が発生すると手数料が高騰してしまいます。送金手数料の安さはビットコインの“売り”のひとつなので、ブロックサイズに起因する送金遅延(ブロックサイズ問題)はビットコインの存亡に関わる問題です。


ブロックサイズ問題を解決するためには、ビットコインの仕様を変更する必要があります。具体的にはブロックに格納するデータ量を減らすか、ブロックのサイズを拡大する方法が考えられます。格納データの圧縮とブロックサイズの拡大の両方を同時に行うこともできます。


ビットコインの世界ではブロックチェーンの仕様変更に関して開発者グループとマイニンググループが対立し、2016年頃から開発論争に関するニュースが報じられるようになりました。

開発者グループが提唱するBitcoin XTとは

Bitcoin XTの運用が開始すれば送金遅延問題が緩和されるのと同時に1件あたりの送信データ量が4割程度カットされるため、その分の送金手数料が安くなる可能性があります。

ビットコインのブロックサイズ問題を解決するために、2015年8月に開発者グループによりBitcoin XTがリリースされました。


Bitcoin XTの変更内容ですが、従来はブロック内に格納されていた電子署名の情報を省いて別の領域に保存することにより、ブロック内に格納するデータ量を現行の約6割程度に圧縮します。データを圧縮した上で、ブロックサイズの上限を2倍(2MB)に拡大します。


ブロック内に全ての電子署名を格納するのは原論文(Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System)の“2. Transactions”の記述に従ったものですが、運用開始後に電子署名の一部を別の領域に保存する方法(Segwit)が考案されました。


ちなみにビットコイン以外の仮想通貨で実際にSegwitの運用が開始しています。2017年4月に国産の仮想通貨であるモナーコインSegwitの運用が開始し、コイン価格が上昇しました。他の仮想通貨もSegwitを導入する動きが始まっています。


2017年現在においてトランザクションの平均データ量は約0.5kバイトで、10分間で約2千件の送金手続きが承認(毎秒約3件)されています。

仮にビットコインでSegwitを導入してブロックサイズを2倍に拡大すると、1個のブロック内に格納することができるトランザクション数は現在の約3倍である6,000件(毎秒約9件)程度まで増加する見込みです。

Bitcoin XTの運用が開始すれば送金遅延問題が緩和されるのと同時に1件あたりの送信データ量が4割程度カットされるため、その分の送金手数料が安くなる可能性があります。これに加えてネットワークへの負荷が軽減されます。


Bitcoin XTのリリース直後にコイン価格は上昇(約3万円から5万円)したことから、この変更案が市場の支持を得ていることが分かります。

マイナーグループが提案するアンリミテッドとは

  1. アンリミテッドであれば送金手数料は今と変わらず、マイニングマシンの追加投資も不要です。
  2. ただし送信データ量が増えるため、ネットワークに対する負荷が増大してしまいます。

中国に本拠地を置くマイナーグループの多くは者グループが提唱するBitcoin XTに反対し、2015年12月に独自の仕様変更案であるBitcoin Unlimited(アンリミテッド)をリリースしました。これによりビットコイン開発者グループとマイナーグループの対立が表面化して、開発論争のニュースが報じられるようになりました。

Bitcoin Unlimited(アンリミテッド)の変更内容ですが、ビットコインの原論文通りに全ての電子署名情報をブロック内に格納し、その代わりにブロックサイズを任意に変更することができるようにしてトランザクションの増加に対応するというものです。

Unlimited(無制限の意)とは、ブロックサイズの上限を廃止するという意味があります。トランザクション数に応じて自由にブロックのデータサイズを拡大することができるようになります。

マイナーグループがSegwit導入に反対する主な理由は、ブロック内に格納するデータサイズが圧縮されるとマイニング報酬に含まれる手数料収入が減少してしまうからです。

ビットコインの送金手数料はデータサイズによって決められるため、Segwitを導入して1件あたりのデータ量が減少すると手数料収入が減ることになります。

これに加えてSegwitを導入するとプログラムのアルゴリズムが大幅に変更され、現行のアルゴリズムに最適化して設計された計算機から成るビットコインの“採掘工場”に追加投資の必要が生じてしまいます。

アンリミテッドであれば送金手数料は今と変わらず、マイニングマシンの追加投資も不要です。ただし送信データ量が増えるため、ネットワークに対する負荷が増大してしまいます。

ちなみにアンリミテッドのリリースのニュースが報じられた直後に、コイン価格は下落しています。

ビットコインの分裂危機とは

マイナーグループがアンリミテッド版をリリースしたニュースが報じられてから2か月後の2016年2月に、ビットコイン開発者グループが香港で会合を開催しました。開発者グループは2017年7月頃を目処に、Segwitを導入した新たな規格であるXTの運用を開始することで合意したという内容のニュースが発表されました。


システムの“最高主権者”である管理者が不在のビットコインの世界では、バージョンアップを行うために95%以上のマイナーの賛同を得なければなりません。

マイナーグループと開発者グループの対立が続く限り、開発者グループが合意しても新バージョンに変更することができません。もしも大半のマイナーの賛同が得られずに一部のマイナーがBitcoin XTでの運用を断行すると、XTはアンリミテッド(Unlimited)と互換性が存在しないため、ブロックチェーンが2本に分裂することになります。


過去にイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンが実際に分裂したことがありますが、この時にイーサリアムの相場が大暴落を起こしました。もしもビットコインのブロックチェーンが2本に分岐して互換性を持たない2種類のビットコインが発生すると、利用者はどちらかの仕様を選択しなければならなくなります。


ビットコインの開発論争が解決しなければブロックチェーン分裂の危機が発生する恐れがあり、ビットコインや仮想通貨全体に対する信用問題にまで発展する可能性があります。ちなみに、もしもビットコインのブロックチェーンがBitcoin XTとUnlimitedに分裂した場合、Bitcoin XTがBTC、Unlimitedの方はBTUと表記されることになります。分裂後は、それぞれ全く別の仮想通貨として扱われます。

ビットコイン開発論争に関するニュースとは

2017年3月時点でもSegwit導入に対する賛同は26%で、マイナーの大半はUnlimitedを支持

ビットコイン開発論争に関係するいくつかのニュースが報じられています。2016年11月に、ビットコインではSegwitを導入を導入するBitcoin XT(開発者グループ案)と、ブロックサイズを無制限に拡大するUnlimited(マイナーグループ案)で投票が開催されました。投票の結果、開発者グループ案は全体の2割程度の賛同にとどまりました。
2017年3月時点でもSegwit導入に対する賛同は26%で、マイナーの大半はUnlimitedを支持していました。

この投票結果を受けて世界の主要な仮想通貨取引所18社が連名で共同声明を発表し、もしもビットコインが分裂した場合には開発者グループ案であるBitcoin XTを支持することを表明しました。

世界中の主要な取引所がBitcoin XTを正統なビットコインとして扱えば、Unlimitedは取引所で現金と交換ができなくなってしまう恐れがあります。仮にマイナーグループがBitcoin Unlimitedの運用を断行しても、取引所で現金と交換することができなければその仮想通貨に値が付かないことになってしまいます。

Unlimitedに関して別のニュースも報じられています。2017年1月に、マイナーグループがリリースしたBitcoin Unlimited V1.0のプログラムにバグが発見されました。

この時はUnlimitedはアクティベートされておらず旧来の仕様で採掘が行われていましたが、ブロック発見で本来得られるはずの報酬12.5BTCと手数料0.7BTCの合計13.2BTCがプログラムの欠陥でマイナーに与えられませんでした。

プログラムの欠陥や取引所がBitcoin XT支持を表明したことを受けてUnlimitedが支持率を下げ、
2017年5月には83%のマイナーがSegwitの導入を支持するようになりました。これにより分裂危機が回避される公算が高くなり、ビットコイン相場が上昇しました。

まとめ

Segwitの導入をめぐるビットコイン開発者グループとマイナーグループの対立はブロックチェーンの分裂危機が生じました。一時はマイナーグループがリリースしたアンリミテッド(Unlimited)支持派の方が多数派を占めていました。

それでも世界の主要取引所が開発者グループ案の支持を表明したことで形勢が逆転し、ブロックチェーンの分裂が回避される公算が高くなりました。


仮想通貨は開発者と運営者が異なるため、開発者グループとマイナーグループが対立する可能性があります。他の仮想通貨でも、開発者とマイナーの間で開発論争が発生する恐れがあります。