ビットコイン(BTC)

ビットコインは基軸通貨になるのか

はじめに

2009年に運用が開始されたビットコインは、たった数年間で世界中で法定通貨と交換ができるようになりました。ビットコインが米ドルのように基軸通貨になるのではないか、とまで言われるようになっています。

基軸通貨として認められるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。汎用性や流動性が高いことに加え、他の通貨に対する為替レートの基準になるために安定性も求められます。

ビットコインは世界の基軸通貨になるための条件を満たすことができません。それでもビットコインは仮想通貨の世界の中に限れば、基軸通貨としての条件を満たしています。

ビットコインの現状とは

Satoshi Nakamoto氏が発表した論文(Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System)に基づき、2009年1月にBitcoinが世界初の仮想通貨として誕生しました。仮想通貨の運用が開始された当時は実験としての意味合いの方が強かったのですが、2010年以降になると現金との交換や決済に利用されるようになりました。
ビットコインは運用開始から8年後の2017年に史上最高値である1BTCあたり30万円を突破し、世界中の多くの国や地域で現地通貨との交換が行われています。2017年現在、世界中の多くの国や地域では、現地の仮想通貨取引所でビットコインとその国や地域の法定通貨を交換することができます。一部の国ではモノやサービスの決済を行う際に、ビットコインによる決済が行われています。
ビットコインの運用が始まった頃は、先進国を中心に普及が進みました。ところが近年、一般の人々が銀行口座を開設することができない発展途上国や、法定通貨の持ち出しが禁止されている国や地域において、爆発的に仮想通貨の普及が進んでいます。欧州で発生した経済危機が発生して銀行預金の預金封鎖が行われた際に、多くの人々は自分の資産を守るためにビットコインを購入しました。
法定通貨の信用が低い国や、一般の人が銀行口座を持つことができないような地域では、世界の基軸通貨である米ドルが人々の生活に欠かせない存在として利用されています。ところが最近は、ビットコインが米ドルの代用として利用されている地域もあるほどです。このため、近い将来にビットコインが米ドルのように基軸通貨になるのではないか、と考える人もいるほどです。

基軸通貨になるための条件

第二次世界大戦以降、米ドルが世界の基軸通貨として利用されるようになりました。一般的にある特定の通貨が基軸通貨として認められるためには、いくつかの条件を全てクリアする必要があります。
基軸通貨の満たすべき条件として最も重要な点は、価値が認められている(信用されている)こと、流動性が高くて世界中どこでも自由に現地通貨と交換ができること(流動性)、供給量が多い(時価総額が高い)ことです。
世界中で信用が高いとみなされている法定通貨には米ドルの他に、ユーロ・日本円・スイスフラン・イギリスポンドなどがあります。通貨ではありませんが、金(ゴールド)もこの条件に当てはまります。米ドル以外の先進国の通貨や金も供給量が多く、価値が安定しています。それでも貿易やその他の国際的な取引の場面では、米ドル建ての決済が行われます。先進国のどの通貨も、流動性の点では米ドルには及びません。
基軸通貨は単に価値が高いだけでなく、安定していることも求められます。ビジネスでお金をやり取りする際には、お互いに支払額を合意してから実際に決済が行われるまでタイムラグが生じます。決済をするまでの間にレートが大きく変動してしまうと、混乱が生じてしまうからです。
米ドルを含めて世界中の法定通貨は、急激に価値が変化しないようにするために供給量が管理されています。中央銀行が法定金利や銀行の預金準備率をコントロールしています。急激にレートが変化する際には、中央銀行が為替介入を行う場合もあります。米ドルは価値が安定しているため、他の通貨との交換レートの基準として利用されています。
多くの人が安全にお金を使うことができるようにするために、各国政府は自国通貨での違法行為(マネーロンダリングなど)を防止するための法整備を整えています。世界の基軸通貨になるためには、発行者によりきちんと管理が行われていることも求められます。

ビットコインと米ドルとの類似点

ビットコインは米ドルと共通点を持っています。ビットコインの最大の特徴は、世界の多くの国や地域で現地の法定通貨と交換することができることです。一部の国では、モノやサービスの決済にも利用されているほどです。
一般的に通貨として認められるための最低条件は、世界中で価値が認められることです。ビットコインは世界の多くの国や地域で「お金」としての価値が認められています。このため、通貨として認められるための最低条件はクリアしています。
世界中で流通している通貨の中で基軸通貨として認められるためには、高い流動性や汎用性が求められます。ユーロや日本円などの主要通貨も銀行間取引であれば世界中で交換が可能なため、主要通貨であると言えます。それでもユーロ圏または日本以外の地域で一般人が手軽に日本円やユーロを現地通貨に交換したり、モノやサービスの支払いに利用することはできないため、基軸通貨ではありません。これに対して、ビットコインは米ドルと同じように日常生活で支払いに利用できる地域がたくさんあります。日本国内でもビットコイン決済ができるお店や宿泊施設、インターネット通販サイトが増えています。一般人の生活レベルでの汎用性について言えば、日本円やユーロなどの主要通貨もビットコインには及びません。
ビットコインやその他の仮想通貨はインターネットが利用できる環境があれば、世界中どこに居ても所有・取引することが可能です。このため、ビットコインは銀行口座の保有率が低い発展途上国での普及が進んでいます。
世界中で通貨としての価値が認められること、現地通貨と交換ができること、モノやサービスの決済に利用されているという点において、ビットコインは基軸通貨である米ドルとの共通点があります。

仮想通貨が抱える問題点

ビットコインは流動性の点では基軸通貨に求められる条件をいくつかクリアしています。それでも仮想通貨が抱える問題点も数多く存在します。
仮想通貨が抱える最大の問題点は、米ドルやその他の通貨との交換レートが不安定であることです。普及が進んだビットコインでさえ、1日に2割以上も暴落する場合があります。汎用性や流動性の点で優れていたとしても、レートが不安定であれば巨額の取引が行われるビジネスには利用できません。
一般的に法定通貨は交換レートを安定したり、供給量を調整するために中央銀行によってコントロールが行われています。ビットコインを含めて仮想通貨の多くは、発行枚数の上限や新規に発行されるコインの供給ペースが固定されています。市場規模が拡大すれば交換レートはある程度安定します。それでも需要に関係なく供給量が固定されていれば、急激な需要の変化が生じると為替レートが不安定になってしまいます。仮想通貨は安定性の点で、基軸通貨の米ドルや他の主要通貨には及びません。
ビットコインには、取引時の承認件数が少ないという問題点もあります。全世界で1秒間に3件程度しか取引が承認されないため、普及が進んで取引件数が増加すれば送金手数料が高騰して流動性が低下する恐れがあります。
ビットコインは世界中で現地通貨と交換ができるため、犯罪組織による違法取引やマネーロンダリングに利用されやすいという問題点もあります。多くの仮想通貨は取引内容が公開されていますが、誰でも匿名でアカウントを作成することが可能です。複数の匿名アカウントに送金すれば、簡単にマネーロンダリングができてしまいます。
法定通貨は管理者が存在するため、不正行為をある程度防止することができます。管理者不在の仮想通貨の世界は無法地帯で、悪い意味でコインを“自由に”利用することができます。マネーロンダリングなどの犯罪を防止する目的で、仮想通貨の利用を制限または禁止している国もあるほどです。

基軸通貨としての仮想通貨

仮想通貨であるビットコインには解決すべき問題点をいくつか抱えています。仮想通貨そのものの利用が禁止または制限されている国や地域もあるので、汎用性の点で基軸通貨としての条件を十分に満たしているとは言えません。仮想通貨は、米ドルのように世界の基軸通貨としての最低条件を全てクリアしてはいません。このため、一般的にビットコインが米ドルのように世界の基軸通貨として認められる可能性は低いと考えられています。
仮想通貨の世界に限れば、時価総額がアルトコインに追い抜かれたとしてもビットコインが最も普及しています。世界中の全ての仮想通貨取引所では、ビットコインと現地通貨または米ドルを交換することができます。一部のアルトコインも普及が進んでいますが、汎用性や知名度の点でビットコインには及びません。
これに加えてビットコインは、他のどの仮想通貨よりも法定通貨に対する交換レートが安定しています。このため後発のアルトコインの価値を表現する場合に、ビットコインとのレートを基準にされます。このことは、世界中の法定通貨の価値を評価する際に、基軸通貨である米ドルに対する為替レートで表現されるのと非常によく似ています。
ビットコインの特徴をまとめると、世界中の多くの国や地域で「お金」としての価値が認められていること、数年間にわたり運用されたことでブロックの偽造や二重支払いなどの不正行為が不可能であること(安全性)が証明されていること、最も知名度が高くて普及している仮想通貨であること、仮想通貨の価値を比較するための尺度として利用されていること、那古が挙げられます。このため、仮想通貨の世界に限って言えば、ビットコインが事実上の基軸通貨とみなされています。

まとめ

ビットコインは流動性や偽造防止技術などの点で基軸通貨に求められる条件を一部満たしています。ただしレートが不安定であることや、マネーロンダリングなどの犯罪に利用されやすいという問題点も抱えています。そのため、ビットコインは米ドルのような基軸通貨になることはできないと考えられています。ただし、仮想通貨の世界ではビットコインが交換レートの基準とされ、アルトコインとの交換にも用いられています。そのため、数百種類にもおよぶ仮想通貨に限れば、ビットコインが基軸通貨として認められています。

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